2011年12月号
森林再生プランなる言葉が林野庁から発せられ、あたかもドイツ式林業が全てのごとく47都道府県の林務担当者が踊っているが、果たしてそれでよいのであろうか?
ヨーロッパに春夏秋冬があるか?年間降水量は我が国ほどあるか?急峻な地形か?
ドイツに学ぶべきは、林業行政を司る林野庁であり、それは100年に渡る長期的体型の理念であり哲学であり、そしてそのフレームづくりである。素材生産や作業道の技術的な事項は、ドイツより地形が似ているオーストリアでありスイスである。架線系の集材技術及びタワーヤーダ等の機械レベルも環境が育てたことであろう、今すぐにでも我が国で最高のパフォーマンスを発揮するものが少なくない。
ただしドイツ式作業道において学ばなければいけないことは、水処理のコンセプトである。ドイツでは、幅員4.6mの林道で大型トレーラー車両による搬出、0.7のユンボによる掘削、大型ダンプによる残土処理が行われており、すべての機材が我が国では規格外である。3m幅員の作業道開設の日本に何を応用するのであろうか?
集排水については、高雨量の我が国には最も重視しなければいけない事柄である。作業道の幅員の大小にかかわらず参考にするエッセンスが山ほどある。
我が国の稚拙な林業機械。作業道の延長により林業機械に求められるのは、機動力である。クローラによる足回りにより機動性において皆無である。さらに掘削機械にアタッチメントとしてグラップルやハーベスタプロセッサを装備したため、極めてバランスが悪く現場での危険をともなう。
所有者の山離れによりこの20年で我が国の森林は荒廃がすすみ、財産としての価値が著しく低下している今、作業道の開設による基盤整備と機動力のある林業機械の導入による森林整備が、日本林業再生の鍵なのである。