一般社団法人 岐阜県林業経営者協会

  • 岐阜県林業経営者協会イメージ01
  • 岐阜県林業経営者協会イメージ02
  • 岐阜県林業経営者協会イメージ03
  • 岐阜県林業経営者協会イメージ04
  • 岐阜県林業経営者協会イメージ05
  • 岐阜県林業経営者協会イメージ06
  • 岐阜県林業経営者協会イメージ07
  • 岐阜県林業経営者協会イメージ08

利となるのか森林経営計画              小澤建司のぼやき

森林経営計画とは?

 森林づくりについて自主的に40年以上の長期の方針を定めた上で、造林、保育、間伐、伐採といった森林施業及び森林保護に関する5ヶ年の計画をたて、市長村などの認定を受けることができる制度が「森林経営計画」である。この制度は、森林所有者などが自らの意志に基づいて適切な森林施業や保護を計画的に行うことを期待するもので、計画に従って行われる森林づくりに対して様々な支援措置が講じられる。

また、森林の多面的機能を十全に発揮する観点から、面的なまとまりをもって森林経営を行うための計画である。特に路網の計画については、属地的計画の林班又は連たんする複数林班内において整備される路網と調和が図られていることが重要である。

しかし、本当に自らの意志だけで進めていける制度なのであろうか?一つ一つを紐解いていきたい。

森林経営計画がもたらす悪影響

 経営計画の考え方として「属地的計画」が基本的に示されている。属地的計画は林班又は連たんする複数林班の2分の1以上をまとめなければ計画は樹立しない。岐阜県の1林班平均面積が50haであるが、約25haをまとめなくてはならない。森林所有者が林班を考え所有・購入している訳もなく、林班の半分をまとめようとするときに一番障害となるのは、自分自身の山林データしか持ち合わせは無く、周囲の森林情報は個人情報保護法に守られている。いくつもの手続きと書類作成を経て、ようやく森林情報を手にすることが可能になる。

 もう一つの方法として、「属人的計画」と呼ばれるものがある。これは、100ha以上の森林を所有し持続的な森林経営を行っている場合のみ、森林全てについて単独で計画するものである。しかし、岐阜県林業経営者協会の会員ですら一人で100ha以上を所有する人は約40人、全国を見ても小数点以下を四捨五入すると0%になる程、属人的計画は特例的に認められる計画である。ある県では属人的計画団地と属地的計画団地の林小班の重複が許されず、属人計画の樹立が困難な場合があると聞くが、わが県では重複が許されており、県によって理解に温度差が生じている。属人的計画と属地的計画、明確な線引きがない状況を考えると様々なトラブルが起きる可能性も無いとは限らない。

 そして、森林経営計画運用において一番に懸念される点は、所有している自分の木が好きな時に必要な量を伐採することが出来無くなることだ。複雑化される制度に対応することが困難となり、意欲のある所有者が森林経営計画に向かえば向かう程、ここまでつくり上げてきた山林が遠い存在になってしまう。そういった人達が財産としての森林に夢を持ち、パソコンを目の前に経営計画の作成に心血を注げるだろうか。

おやじ117人の力!!

 現在の情報化社会におけるスピード化は著しいものである。しかしながら、林業においては1000年前も今も、年輪が一年に一つしか出来ないというスローライフである。このような業界においては、多くの人が変化を好まない。その結果として山林が間違いなくそこにあり、こうしている今も年輪は一個しか出来ない。林業とは「年輪の缶詰」そのものである。

 しかし近年、林業において加速度的に制度・政策が変更され、専門知識が必要とされるようになり、アナログで進めて来た林業でさえもデジタル化の対応に迫られている。

 継続的に山づくりを行うためには、森林経営計画の存在なくして、行政からの支援措置は受けられないことが明確になった。今、個々で森林整備を行うのではなく、共通な価値観を有する者、さらにはそれに賛同する者達が一つになって山づくりを進めなければならない時代になっている。一人の力では、利とすることが難しい森林経営計画を組織力で持ってこれからの時代を切り開いていかなくてはならない。

業界のトップリーダーなるべき存在。新時代へのパイオニアとして今まで培ったノウハウや知識、情報、そして最新機械設備等、様々な力を備え持つおやじ117人の集団。このおやじ達こそが、唯一森林経営計画による岐阜県の森林再生を可能にする。今まさに岐阜県林業経営者協会の存在意義が問われている。